聖(性?)・バレンタインデー 前編



2月に入ると、街は一斉にバレンタイン一色になる。


町中にあるホテルも色めき立つ。それは恋人達の愛のサポートをするために………






臭い。ものっそいクサイ。






浪漫ちっくが似合わない……クックックッ……


ゴメン、無理だわ。




やって来ました、バレンタイン。

ウメモリが勤めていたラブホテルでは、一週間ほど前からこんな電話がかかってきます。


「予約できますか?」

「予約できませんかね〜?」


こういったお客様には、「申し訳ございませんが…」とシステムの説明をして
丁重にお断りさせていただいていました。


中には、「そんなこと言わないでさ〜…」とやたらとフレンドリーさを強調して、
“いかにも常連です”というフリをする方もいます。


いやいや、お友達じゃないんで、そんなことされても困るのですが。

(友達は、そんな姑息なマネはしません。むしろ、来ないってば。)



さらに凄いお客様もいます。

ホテルを利用後、精算をしている時に、


「やっぱり、14日って予約できないですよね?」






………無理です。





これまた、丁重にお断りします。

電話の主はお前か?と、若干疑いを掛けていますが。



もっと凄い客様もいます。

ホテル利用後の精算時に、「予約は出来ないか?」と尋ねられたのです。

もちろん、出来ない旨をお伝えすると、隣にいた彼女(と思わしき女性)が一言、



『え?アタシには14日仕事だから会えないって言ったじゃん!誰と来るのさ?』



彼氏返答できず。

気まずい雰囲気がフロント内に充満する。






すみません、ケンカは外でお願いします。






心の中でつぶやきつつも、マニュアル通りに対応。


さすがにホテル内でケンカはマズイと思ったのか、そそくさと出て行く2人。


「ありがとうございました。お気をつけてお帰り下さいませ。」



本当に、お気をつけて……



マニュアル通りとはいえ、心の中で何度も繰り返す。

プラス「地雷、踏んじゃったね。御愁傷様」と哀れみの念を持つことも忘れない。



14日になる前から、このような事件が起こるのである。

バレンタインデー当日には、さらに上をいく出来事が起こるのは目に見えているのである。







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