盲目な目


「生き辛い世の中になった。」と彼女は言う。

私にはそれがわからない。


「昔は良かった。」と彼女は言う。

回顧録ではない紛れもない彼女の真実なのだ。


「何も無いから良かった。」と彼女は言う。

言わんとすることはわからないでもない。


「失敗を恐れる必要が無かった。」と彼女は言う。

全てにおいて0からのスタートだからである。


「今は、その先に見えるものが無い。」と彼女は言う。

全てにおいて飽和状態なのだと。



彼女が言う「生き辛い世の中」で、必死になって息をしている。


飽和状態の中で必死になって先を見ようとしている。


裕福と言う盲目な目で。



それでも一筋の光はあると信じて。





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